立喰師列伝を見てきた

○相変わらずの押井調のナレーションに、押井守の脳内で発生した戦後の昭和史、そして押井の妄想から生まれた「立喰師」。これらを混ぜることがどれだけアレかってことは、説明するまでもない。つまり、そんな作品。普通の人にはお勧めできない。


○ある程度押井作品を読んでいる人ならそれなりについて来れるだろうけど、それ以外の人には正直理解できないと思う。とっかかりが無いし。


押井守自身はこの作品を「傑作」と言っていたけど、これはどこからどう見ても「怪作」でしかない。個人の妄想に妄想を重ね、それらを演じるのはアニメ関係の業界人(川井憲次鈴木敏夫兵藤まこ寺田克也と別の意味で豪華なメンバー。あと冲方丁乙一なんかも「キャスト」にいたりする。つかどこに出てたんだどこに)、挙句にスーパーライブメーション(これは「ミニパト」でやってた割り箸アニメを進化させたようなものなのだけど、いきなり見せられるとちょっと面食らう)なんてものを持ち出し、混沌に拍車をかける。


○結論を言えば「押井好きな人間ならある程度楽しめる」といういつも通りの(?)出来。それに加えて個人的には榊原良子がやたら老けた声ばかり出していたり、川井憲次は相変わらず「ああ、川井憲次の音だ」とわかる音を作っていたのが印象的だった。


○自分ですか? もちろんある程度楽しめ(てしまっ)た側の人間ですよ?


○ただ、観終わったあと頭痛で夜まで寝込んだ(日曜に観に行ったんです)のはこの映画のせいなんだろうか。